テニスにて

テニスコーチの視点からの解説

インパクトの快感を体験させる

12月は「長さのコントロール

ボールの長さは、ボールのスピードと回転の種類や量によってコントロールします。つまり、ボールに対してラケットがどういう方向から、どういう角度で、どのくらいのスピードでボールに向かっていったかが重要です。

しかし、それらはボールとラケットがインパクトする瞬間や、その瞬間の直前直後に操作しようと思ってもゼロコンマ何秒という時間の中で正確に行うことは至難の業です。

スイングというものは、最初にラケットに動きを与えたあとはラケットの重みで振り子のように遠心力を使って振るのが理想です。地球上の慣性の法則に逆らわずに振り抜いた方がラケット面は安定します。降り始めでラケットを地面と水平に動かしておいて、インパクトの時に上に振り上げようと思っても、ボールはほとんど上に上がってくれません。降り始めでラケット面を上に向けておいて、インパクトだけまっすぐにしようと手先をこねても、よほどタイミングが合わない限り、思い通りの角度でラケット面を当てるのは難しいものです。

では、いつボールに意思を伝える作業をするのかというと、そう、降り始めです。インパクトでの角度やスピードや方向と同じものを、降り始めで行うのです。つまり、降り始めでラケットを介してボールに意思を伝えるのです。逆に言えば、インパクトでは何も手先で操作はしません。降り始めで意思を伝えて、あとはラケットの慣性に任せる、ラケットが行きたいところに行かせてあげるのです。

言葉で言うと簡単ですが、やはりほとんどの一般プレーヤーはインパクトの瞬間で意思を込めようとしてしまいます。

原因としては、ボールに近い、タイミングが早い遅い、という場所や時間の問題が一つ。それからもう一つは緊張や焦りなどの心理的要素と、疲れなどの肉体的な要素です。

今回のレッスンでは、降り始め以外、自分の意思を込めさせないようにするために、大きめのパイロンをラケット代わりに素振りしてもらったり、拍手が一番大きくなる場所を探して、それを参考に、より良い音や感触が得られる打点域を探す練習をしました。

人間は手に伝わるほどよい衝撃を心地よく感じますし、体がスムーズに連鎖して動いた時に、なんとも言えない爽快感を感じます。この心地よさを実感できれば、その快感が記憶に残り、次の機会にもまたその快感を求めていこうとするので、再現性が高くなります。

理論的に仮説を立てて、それを人間の本能に実験させる。最近はこの方法を模索しています。