テニスにて

テニスコーチの視点からの解説

苦しい状況で手順を守る

2017年10月のテーマは「横に走らされた時のコントロール

 

どんな作業にも手順というものがある。手順がバラバラでも完成しなくはないが、やはり正しい手順通りに行った方が成功しやすい。

テニスの打ち方もそうである。

 

相手ボールを見る

どんなボールを打ち返すか決める

決めたボールを打ちやすい場所まで、打ちやすい格好をしながら移動する

場所にたどり着いたら、ボールに合わせてタイミングを計る

ボールを打つ

次に相手が返してくるであろうエリアの中心に移動する

構えて次のボールを待つ

 

言葉にすると、結構やることがいっぱいある。打ち方をもっと細分化することもできるが、ここでは面倒なのでしない。

 

これらの手順が滞りなく、精密に行われていくと、いいショットが打てる。

しかし、遠くへ走らされたり、速いボールを打たれたりすると、手順を飛ばして正しい手順通りにいかなくなってしまったり、手順の中で行われていることの精度が落ちてしまう。

 

ここを練習で克服しようとした。

手順を守りなさいと強調すると同時に、走らされるという負荷を与えることによって、生徒さんは、必死に走りながらその手順を追って実行しようと試みる。

必死に走りながらというところがミソだ。苦しい状況で手順を守るということで、より必死に手順を覚えようとするし、いざラリーになったときに、走り出せば自動的にその手順を思い出すことになるからだ。

 

何も考えずに走り出すと、とにかくラケットに当てなきゃという気持ちが働きやすくなり、ラケットや自分の頭から先にボールに向かってしまい、「何を打つか決まっていない」「場所もラケットも正しく準備されていない」「タイミングもはかっていない」という状態におちいってしまうのだ。これだと、失敗してもどこを直せばいいか自分では気づきにくい。

なので、手順通りにやることで、失敗の原因がより具体的になるという効果もある。

 

様々な問題は具体化したり、細分化することによって解決策が見えてくるものである。

追い込まれたら薄く当てる?厚く当てる?

厚い当たりと薄い当たりを使い分ける練習をしている10月。

特に「つなぐ」ボールを打ちたいときに、どのくらいの当たりの厚さで打つかを、ひとりひとりが見つけていきましょうというお話しをしています。

しかし、つなぐボールを全て同じ当て方で、同じフォームで打つわけではありません。相手が打ってくるボールはひとつひとつ違うので、ベースとなる「つなぐ当たり」があったとしても、相手のボール次第で微妙に変えていかないといけないのです。

ちゃんと追いつけて時間もあるし体勢も整っている場合と、ちょっと追いついた時間がギリギリで体勢も少し崩れてる場合では、違う当て方にしたほうが失敗が少ない。

具体的には、状況が悪いときほどスイングスピードが出せないので(出すと体勢をもっと崩します)スピードを落としてラケットワークを丁寧に行う必要があります。スピードが落ちる分だけ当たりを薄くしてしまうとボールが飛ばなくなるので、当たりは厚くする方が一般のプレーヤーにはおすすめです。

10月の実戦クラスのテーマ

10月の実戦クラスは9月の続きです。

まずはこのエントリーを再掲。

後衛のミスの減らし方4広い視野を - テニスにて

後衛が失敗する原因として

「取らせまいという気持ち」が難易度の高いショットを選択させたり、打ち急ぎを誘発するのです。

なので、前衛が邪魔な動きをしても無理に避けて打とうとせずに、前衛に取らせるつもりで打った方が気持ちも楽だし、、、

取らせることを前提に打てば、次のボールに対する準備しなきゃという気持ちになっていきやすくなる。

のです。

 

今月はその先のお話です。

前衛に取らせた後、前衛が打ち返したボールをパートナーと協力して返球をします。できれば、この返球は相手後衛にコントロールするのがベターです。うまくいけば、相手後衛にボールをつなげようとした最初の目的に戻すことができます。

お互いイーブンな状態を相手前衛が崩しにかかり、その前衛から逃げずにそれをまたイーブンな状態に戻すことが今月の目標です。

 

 

フットワークと姿勢

10月の初級のテーマ

「ボールから離れるフットワーク」

ボールに対して横に距離を取ってラケットがスイングしやすいようにします。

どんなグリップでラケットを持っていたとしても、打点は胴体の横にあります。体の横でラケットが前進したり、振り上がったりします。

なので、ボールから離れるフットワークを使って距離を取ったら、体の横(つまり打点)にボールが来るまで待って、横のスペースを使ってラケットを動かしてボールをコントロールします。

ボールコントロールするときに体が倒れてたり、姿勢が悪かったりすると、スムーズに体が回せないしスイングもできない。つまり

  1. 離れるフットワークを使っている時、
  2. フットワークを終えて止まった時、
  3. 止まってボールを待っている時、

これらの時に頭の位置が足腰の真上にあった方がスイングしやすくなります。

初級のうちは、少しのことで姿勢が崩れやすくなるので、上記の3つの時の姿勢に気をつけましょう。

テニス上達のために大事なこと

10月の初級のレッスンは、ボールから離れるフットワークです。

以前に少し触れました。

 打ちやすい場所を探すフットワーク - テニスにて

ラケット面当たりやすく、スムーズにスイングしやすい場所に「近いかなー、遠いかなー」と迷いながら近づいたり離れたりのフットワークを使っていきます。

コーチの役割はスイングしやすい場所を教えてあげることではないです。生徒がスイングしやすい場所を自分で見つけられるように、何度も実験させるのです。

何度も実験して、何度も失敗して、何度も修正して、何度も再チャレンジする。コーチは生徒が失敗する権利を奪ってはいけません。

そうやって何度も実験を繰り返してきた人は、どこに落とし穴があるか知っています。コーチに全ての正解を教えてもらった人は落とし穴の在処を知りません。

そうです、失敗をする権利というものは、落とし穴の在処を知り、一人でも道を歩いていけるようになるために、絶対に必要なものなのです。

コーチは生徒に正解を与えるのではなく、まず失敗の必要性を理解させ、生徒自ら色々な可能性を実験する動機付けをすること。そして、レベルに合わせて選択肢を提示していくことです。

 

サーブのトスアップ問題(トスの高さ)

トスの高さは当然打点の高さより上の方が良いです。現在はあまり見かけなくなったクイックモーションからのサーブの場合は、トスが上がりきる前にインパクトするので、あまり高さに気を使うことはないのですが、クイックモーションからのサーブは一般のプレーヤーには難しいので、あまりおすすめはしません(アンリルコント懐かしいなぁ)

トスアップを高くするためには、左腕を短時間に長く動かす必要があります。具体的には左足のももから頭上1番高いところまで、ノンストップで一気に振り上げます。ボールを手放すのは顔の高さの辺りですが、そこで左手を止めてはいけません。最後まで一気にです。

そうやって上げた左手は、トスアップの役割を終えた後も頭上に残しておきます。その左手がサーブの打点の高さを測る「もの差し」になるからです。ラケットを振り上げ始めるまで、左手は頭上に残しておきましょう。

 

 

自分に合った当たりを見つけよう

10月のレッスンテーマシリーズ

ベースはこちら

厚い当たり、薄い当たり、とは? - テニスにて

 

攻撃的なショットは失敗するリスクが高いものです。常に攻撃をしようとすると、うまくいけば得点につながりますが、それ以上に自分のエラーも増えてしまいます。

なので、攻撃をしても失敗が少なそうなチャンスボールを相手が打ってくるのを、リスクを抑えた安全なショットを打って待つ、という作戦がポピュラーです。いわゆる「つなぐショット」ですね。

つなぐショットはエラーを減らすために、ネットよりかなり高めの弾道でネットを越しやすくして、ボールのスピードを抑えてコートに収まりやすくする必要があります。

相手がチャンスボールを打ってくるまで、このつなぐショットをコンスタントに打ち続けるためには、つなぐショットを打つときのインパクトの感触が心地良いものである方がいいと僕は考えます。

この感触を生み出すのが、ラケットとボールの当たりの厚さ薄さです。つなぐショットを打つときの当たりの厚さ薄さは、実は皆同じではなく、人それぞれなのです。人によってグリップが違いますし、スイングスピードも違います。

スイングスピードが速い人は厚く当てて高めのボールを打つとボールが飛びすぎてアウトしやすくなるので、薄めに当てた方が良いでしょう。逆に、スイングスピードが遅めの人は、高めのボールを打ってもボールスピードが遅い分、厚めに当てても重力で下に落ちやすくなります。

このように、同じ弾道で同じ場所にボールを落とすとしても、人によって当たりを厚くした方がいい人もいるし、薄くした方がいい人もいるので、他人のマネをせず自分にとって心地良いインパクトの感触を探して、厚さ薄さを調整してみるといいと思います。

余談ですが、このつなぐショットを打つときの心地良いインパクトを探し当てることができると、ラケット選びがわかりやすくなります。